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要 宏輝のコラム

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 「関生型運動」考察と「労働運動要論」⑬

 10月から始まった第四のテーマ長澤運輸とハマキョウレックス[労契法20条裁判闘争]もいよいよ最終です。
 さらにコラムの最終回である今回は、いかに団結が重要であり、それができにくい原因は何か、今後私たち組合員はどのような視点をもち闘うべきかが示されています(機関紙部)。

  



  ●おわりに:なぜ、団結できへんのや●

 
 
 「イギリス労働運動史」のG.D.Hコールが、近代社会の根源的な悪を問うて、「貧困は症状であって、隷従が病(やまい)である。多くの人々は貧困であるがゆえに隷従を余儀なくされているのではなく、隷従しているがために貧困なのである」と述べていることは、現代も労働問題の本質をついている。

 まず、正社員=組合員の「隷従の病」。彼らは人事考課や成果主義などの労務管理制度によって、精神と肉体の隷従を強いられ、思想の貧困、想像力の劣化によって団結すらできないでいる。 組合員でありながらその利益・権利を享受できない、組合員の「非組合員化」という実態は、「労働組合は恵まれた、大企業の正社員の集まり」(2003・9「連合評価委員会最終報告」)といわれるほど恵まれたものではない。正社員はカンパニーユニオン化した組合から十分な保護を受けられず、解雇・配転・過労死や労働条件をめぐる受難を「個別紛争」として救済対象から排除されることも多い。組合員を守るべき義務を果さなかったこと(債務不履行)で、組合員が組合を訴える事件も起き始めている。

 次いで、パートタイマーや有期雇用などの非正規労働者はユニオンショップによって組合から排除され、諸々の労働条件・権利において差別されている。格差社会にあって、今や、非正規雇用という社会的身分によって排除・差別されているのである。労働者の圧倒的多数が隷従と社会的排除のもとにある。「隷従の病」が治らない、つまり隷従の鎖を断ち切れないのは労働者が団結できないからである。隷従と団結はメダルの裏表。

 下図は、筆者が労働組合の学習会でよく使っていた、「団結問答(Q&A)」である。


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「団結せよ」「団結は力」と、念仏のように唱えても無力だ。

 いまや、圧倒的多数の労働者が競争と差別、長時間労働と低賃金で身動きでなくされているのだ(以上、拙著「正義の労働運動ふたたび」p232~234)。
問題を解析する力を養う余裕、時間、体力もない労働者に比べると、労働組合の組合員は問題認識を共有し合うことができる(はずだ)。

 その有力なツールの一つが機関紙だ。関生支部の機関紙のタイトルである「くさり」は「隷従の鎖を断ち切ること」を意味しているが、組合員によく読まれ、職場や社会の問題をちゃんと捉え、認識の共有化そして団結の強化・拡大につながっていると信じている。
(完)



 【 追 記 】
 私の駄文掲載のために、機関紙「くさり」の紙面を1年間にわたり提供していただいた武建一委員長はじめ役員の方々、率直な批評をいただいた組合員の皆さんにお礼申し上げます。
不当な刑事弾圧との闘いを凌(しの)いで、金言「嵐が若木を育てる」ように関生支部が発展することを見守っています。当然、連帯して闘うことも誓って。
(2018・9・18)





 要さんから、温かく力強い激励のお言葉をいただいています。

私たち組合員のために、「くさり』に素晴らしいコラムを執筆してくださり本当にありがとうございました。

 労働運動の必要性を再確認させてくださった要さんに心より感謝申し上げます。

  【 くさり12月号より 】


  

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 筆者プロフィール
 
  要 宏輝  かなめ ひろあき
 
 1944年香川県に生まれる。
<運動歴>1967年総評全国金属労働組合大阪地方本部書記局に入局/1989年産別合併(第一次)で全国金属機械労働組合になり、1991年に同大阪地方本部書記長/1999年産別合併(第二次)でJAM大阪副委員長、連合大阪専従副会長/2005年定年後、連合大阪なんでも相談センター相談員/2009年1月連合大阪訴訟(大阪府労働委員会労働者委員再任妨害、パナソニック偽装請負批判論文弾圧、「正義の労働運動ふたたび」出版妨害、不当労働行為企業モリタへの連合大阪会長謝罪事件の四件の人格権侵害等訴訟)/2009年5月和歌山労働局総合労働相談員
<公職等>1993~2003年大阪地方最賃審議会委員/1999~2008年大阪府労働委員会労働者委員
<著書>「倒産労働運動―大失業時代の生き方、闘い方」(編著、柘植書房、1987年)/「大阪社会労働運動史第六巻」(共著、有斐閣、1996年)/「正義の労働運動ふたたび 労働運動要論」(単著、アットワークス、2007年)/「ワークフェア―排除から包摂へ?」(共著、法律文化社、2007年)など
<最新の論文等>「連合よ、正しく強かれ」(現代の理論2009年春号)/「組合攻撃したものの法的には負けっぱなしの橋下市長」(週刊金曜日2015.2.6号)/「結成28年で岐路に立つ『連合』」(週刊金曜日2017.8.25号)など

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