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要 宏輝のコラム

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 「関生型運動」考察と「労働運動要論」⑪

  10月号からは、四つ目の最後のテーマ、長澤運輸とハマキョウレックスの[労契法20条裁判闘争]の社会的インパクトを中心に、三回に分けて連載します。ご期待ください。なお、このテーマをもって「要宏輝のコラム」の連載は終わりといたします(機関紙部)
  



  連帯労組の、二つの「労契法20条裁判」の衝撃

 
 
  仕事が同じであれば同じ賃金という「同一価値労働同一賃金」原則(仕事給)が世界基準でありながら、日本は長期雇用ルールのもと、属人給の年功給・職能給だ。

 格差社会が深刻化するなかで、世間に先駆けて、関生の上部組織である連帯(全日本建設運輸連帯労働組合)の長澤運輸(本社横浜市、原告は定年後再雇用の嘱託社員)とハマキョウレックス(本社浜松市、原告は現役の有期雇用の契約社員)が最高裁まで争い、労契法20条裁判「反差別・反排除」の闘いの旗を打ち立てた意義は大きい。この二つの闘いは金字塔のようにその輝きを増している。

 周知のように、経済のグローバル化に伴い、日本の長期雇用慣行が崩れ、様々な非正規雇用が生まれてきたが、新しい判例法理の形成はほとんどなく、裁判所は80年代くらいまでに形成された法理論・判例法理(その集大成が労働契約法)を当てはめ、応用して今日まで模索を続けてきたのが実態だ。

 しかし、改正労契法(2012年)にしても、第20条に見られるように「何をもって不合理とするか」が判然とせず、むしろ労使紛争の種をまき散らすことになると危惧されていた。・・・2018年6月1日、長澤運輸とハマキョウレックス事件の最高裁判決がだされ、労契法20条事件の判断の枠組みが初めて示された。両事件は最高裁では明暗を分けた。長澤運輸の地裁判決(基幹的賃金等の均等待遇=補充的解釈の適用)は認められなかったがすべてがゼロになったわけではない。「原告はすでに均衡待遇されている(基本賃金部分は同一労働正社員の79%)」との事実認定を根拠として、均等待遇が退けられている。つまり最高裁の判断は「均衡待遇で十分に遇されている」ということだ。

 その後、日本の労使関係のなかで新たな、大きな動きを生み出し始めている。本稿ではそれを紹介する。 「長澤ショック」と称された長澤運輸事件の東京地裁勝利判決(2016・5)、「定年後再雇用の賃下げは違法」とし、労契法20条の法違反事項(年収約2割ダウンの基本賃金等)に補充的解釈を認めたこと、つまり「原告の待遇を、原告と同じ仕事をしている正社員と即、同一にすること」とする判示である。

 同時に、遡(さかのぼ)って減額された賃金差額の支払いも判示された。「仕事が同じなら、同じ賃金を!」という労働側の要求そのものであり、政府のいう「同一労働同一賃金」の日本的実現そのもので、社会に衝撃が走った。

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 この判決が全社会的に適用されようものなら、日本のすべての会社経営の根本がひっくり返ってしまう。上場企業の、59才・年収1000万円前後の正社員の、定年後再雇用の賃金は月22~23万円の水準だからだ。 日本の経営者は驚天動地の想いだったろうに、そのあとに続く、原告・労働側敗訴の高裁・最高裁の「不当判決」で彼らは胸をなでおろした。

 一方のハマキョウレックス事件は、一審の大津地裁判決で、主位的請求である正社員化要求は退けられ、通勤手当など六つの諸手当の請求について、通勤手当一つに労契法20条の適用が認められ、損害賠償一万円と遅延損害金を認める判決(原告・労働側の大敗訴)だったが、高裁・最高裁は逆転勝訴、住宅手当を除く、通勤手当・給食手当・無事故手当・作業手当・皆勤手当の不支給を「不合理」と判示した。

 連帯労組が先駆けて取り組んだ、二つの裁判闘争の意義は、均等・均衡待遇に向けて、団交がやりやすくなり、決裂後の裁判闘争の道筋を与えてくれたことである。「民は貧しきを憂(うれ)えず、等しからざるを憂う」、格差に対する怨嗟(えんさ)は必ず怒りに点火する!セクハラ・パワハラと同様に、「雇用身分社会を辛抱せよ」と身内の者に言えるか!   
   

  【 くさり10月号より 】


  

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 筆者プロフィール
 
  要 宏輝  かなめ ひろあき
 
 1944年香川県に生まれる。
<運動歴>1967年総評全国金属労働組合大阪地方本部書記局に入局/1989年産別合併(第一次)で全国金属機械労働組合になり、1991年に同大阪地方本部書記長/1999年産別合併(第二次)でJAM大阪副委員長、連合大阪専従副会長/2005年定年後、連合大阪なんでも相談センター相談員/2009年1月連合大阪訴訟(大阪府労働委員会労働者委員再任妨害、パナソニック偽装請負批判論文弾圧、「正義の労働運動ふたたび」出版妨害、不当労働行為企業モリタへの連合大阪会長謝罪事件の四件の人格権侵害等訴訟)/2009年5月和歌山労働局総合労働相談員
<公職等>1993~2003年大阪地方最賃審議会委員/1999~2008年大阪府労働委員会労働者委員
<著書>「倒産労働運動―大失業時代の生き方、闘い方」(編著、柘植書房、1987年)/「大阪社会労働運動史第六巻」(共著、有斐閣、1996年)/「正義の労働運動ふたたび 労働運動要論」(単著、アットワークス、2007年)/「ワークフェア―排除から包摂へ?」(共著、法律文化社、2007年)など
<最新の論文等>「連合よ、正しく強かれ」(現代の理論2009年春号)/「組合攻撃したものの法的には負けっぱなしの橋下市長」(週刊金曜日2015.2.6号)/「結成28年で岐路に立つ『連合』」(週刊金曜日2017.8.25号)など

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