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目  次
> 発刊にあたって
> あいさつ
> 武建一氏略歴
> 講演その1 「関西生コン50周年」
> 講演その2 「生コンユーザーフォーラム」
> 講演その3 「近畿生コン関連協同組合連合会設立記念シンポジウム」
> 特集記事1 「広域協組設立の背景と軌跡」
> 特集記事2 「2つの事件を結ぶ『地下茎』−JR尼崎脱線事故と権力弾圧−」


発刊にあたって 【KU会役員会一同】

 武建一・関西地区生コン支部執行委員長が逮捕拘留され、現時点(2005年7月20日現在)で丸半年が過ぎました。本年1月13日に大谷生コン関連の「強要未遂・威力業務妨害」容疑で関生支部役員4名が、3月9日に旭光生コン関連の同容疑で4名が逮捕(内2名は重複計6名。家宅捜査は計50ヵ所)されたのです。
 今回事件は、大企業中心の産業構造を協同組合化を通した中小企業中心の構造転換の渦中において起きました。労働組合が主張する「雇用と生活を守るための正当な労働組合の行動権行使」「契約の履行を求める要請」には客観性・妥当性があります。
 警察・検察が作為的に事件を作り、中心人物の長期拘留を目的とした事案は多数あり、枚挙の暇がありません。労働争議や大衆運動等々、運動が核心に触れたり大きくなってくると、この種の事件が捏造されてきました。
 関生支部をはじめ、日本の労働組合(生コン産労・全港湾や全国一般等多数)ばかりでなく、韓国の全国建設運送労働組合の委員長も日本にかけつけ「不当にも弾圧・拘束した警察・検察・裁判所が悪い。しかし、仲間を釈放できていない現実を直視してほしい」と早期釈放への強い決意を表明しております。
 私どもKU会は、今年の2月28日に「関生支部の強化発展を支援する応援団として、また、関生支部と連携して、教育啓発や調査研究、各種交流をはかる機関として、さらに、会員企業などの抱える諸問題を共同して解決していける相互扶助組織として」設立されました。その根底には、関生支部こそが「セメント・生コン関連業界において、シンクタンクとなり、行動隊となり、提言と説得を繰り返し、中小企業の声をすくい上げ、みずからの身を削って業界の基盤整備を押し進めてきた」という、この目で見てきた現実があります。その先頭を走ってきたのが武建一氏であることは誰の目にも明らかです。
 私どもは経営者団体(現在71企業・個人)であり、会員の多くは労使関係や業界の再建に向けた様々な取り組みの過程で、武建一氏と出会い、その人柄・思想に接してきました。そうであるからこそ、被疑事実の曖昧さ、裁かれるべきは誰なのかが明らかです。しかし、残念ながら、警察や一部マスコミや悪のりする業界関係者に踊らされ、あるいは、世論操作に思わず乗っかってしまっている善意の方々も多いものと推測されます。
 そこで、「業界のドン」「恐怖で支配」などの悪のイメージ作りに対し、私どもは武建一氏の日常の言動を明らかにすること(つまり事実)で、皆様方に「等身大の武建一氏・関生支部」を知って頂だこうという思いで、このパンフレットを作成しました。武建一氏の短めの挨拶や講演が3本、業界再建の歴史、規制緩和への警鐘などの記事で構成されております。一人でも多くの方々が、事実の一端をご理解下さり、1日も早い無罪釈放(何よりも即時の保釈実現!)の大きな声をあげて下さらん事を祈念して、発刊の言葉とします。

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あいさつ 【連帯労組関西地区生コン支部副執行委員長  武 洋一】

 はじめに、KU会に参加されているみなさんが関生支部のこれまでの中小企業を元気にする政策運動を理解し、全面的に協力して頂いていることに感謝を申し上げます。
 さて、今回の弾圧は、ゼネコン(大企業)と一部の生コン業者が結託し、セメント・生コン・圧送業界の秩序破壊を目的に、仕込まれた弾圧であることは明らかです。つまり、中小企業と労働者にかけられた攻撃であります。
 何故なら、中小企業同士が横断的(協同組合)に団結し、大企業との対等取引条件の確立、社会的財産である建造物の安全性・耐久性を保証する生コン製品の確保、品質を保証できうる適正価格の収受など、中小企業が元気で健全に企業運営できる業界秩序を破壊する攻撃に他ならないことは歴史が証明しています。
 関生支部は、過去(1980年初頭)にも、今回と同様な威力業務妨害・強要・恐喝などのデッチ上げ弾圧を受けました。しかし、いずれも関生支部に対する弾圧ではありますが、労働組合の受ける被害より生コン業界の秩序が破壊され、生コン業界の被害は莫大なものとなり、90年代初頭には50社を超える企業が倒産・廃業を余儀なくされ、当時の朝日新聞に「生コン業界がけっぷち」とまで批評されるほど、疲弊した生コン業界となりました。
 この歴史的事実から私たちは何を教訓にすることが求められているのでしょうか。
 つまり、目先の利益にとらわれるがあまり、敵の力を過大評価したり、「敵と味方」の区別を見失うなどということがあってはなりません。
 そのためには、中小企業と労働者が情勢認識と産業の歴史的教訓を共有し、今こそ大同団結して、敵の狙いを打ち砕く陣形を強化・拡大することです。
 この様な観点で、KU会の皆さんが中小企業の砦としての求心力を高められることを期待するとともに、関生支部も最大限援助することを誓います。

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武 建一 氏 略歴

1942年  1月20日 徳之島に生まれ、種子島で育つ
  45年  8月15日 終戦。徳之島に帰る
  49年   岡前小学校入学。55年3月卒業
  52年  4月28日 サンフランシスコ講和条約発効。徳之島等奄美諸島の日本復帰実現(それまでは連合国軍総司令部支配)
  55年  4月 北中学校入学。58年3月卒業
  58年  3月 約6ヶ月土方仕事に従事
   9月 地元天城村一丸江商店就職。60年4月まで。
  61年  4月 大阪共同組入社(以降、三黄通運、三生運送、新淀生コンに社名変更し、今日に至る)
 
  63年   勝又十九二氏解雇事件反対闘争。(「勝又学校」で勉強する)
  64年   関西地区生コン支部結成準備に入る。
当時、関扇運輸闘争始まる。西淀川労働学校に入り、経済・哲学・労働組合の歴史などを学ぶ
  65年  6月 日韓基本条約締結(問題点は、この中で、日本が5億ドルの経済協力で過去の請求権が終了したとの事である)
  10月17日 関西地区生コン支部結成(初代執行委員長)。分裂・差別・「アカ」攻撃
  66年 10月21日 ベトナム侵略戦争反対・スト。新谷成栄解雇撤回
上記により三生佃が解雇(川口・木村・武)
  68年   石井事件(日本共産党の路線対立によるもの)
  70年   三生佃解雇(川口・木村・武)事件全面勝利・職場復帰
大豊運輸分会、同盟交通労連から当方へ加入
  71年   黒田大阪府知事誕生
ニクソンショック(ドルと金の交換停止)
  72年  7月 大豊闘争地方労働委員会勝利
   9月 田中角栄・日中友好回復
  12月24日 洋子夫人との結婚
 
  73年   小野田事件・刑事事件。第1回集団交渉(18社)。オイルショック。「白い着物を着せてやる」と脅迫受ける
  74年   同盟交通労連の要求18,500円を上回る19,500円の賃上げ。優先雇用協定書
  75年   政策発表
  
  77年   雇用第一協定
  79年   監禁され殺されかける。住宅購入。母上が大阪にて死去。生コン会館建設される
  80年   集交成立。大阪兵庫生コン工組との集交、104、36項目合意。阪南協事件(恐喝・同未遂)。組合員へ一人30万円の闘争資金積立を呼びかける
  81年   弥生会結成(当時の日経連会長でセメント協会会長でもあった大槻文平の意向を受けたセメント直系の生コン経営者団体)
  82年   殺されかける(3回目。1社1千万円を渡して殺人依頼)。この間、組合員は2,500名増え、名古屋や東京に拡大する
  12月17日 日本共産党声明(運輸一般中央本部の関生支部権力弾圧容認)
   
  83年   闘争全国的に広がる(ビラ30万枚以上)。バス・タクシー・ダンプと組織広がる。組合員3,500名となる。総評、日本共産党代々木オルグと分裂。新たな労働組合作り
  84年  3月 5日 新しく船出
  11月18日 全日本建設運輸連帯労働組合(連帯ユニオン)結成
  85年   ゴルバチョフ「新思考。社会主義も資本主義も勝者はない」バブル経済スタートする
  89年   東ドイツ崩壊。ベルリンの壁崩壊。総評解散。弥生会、賃上げ5,000円のガイドライン。当方10,000円とする
  90年   25,300円賃上げ勝ち取る。バブル崩壊する
  91年   湾岸戦争、イラク攻撃。ソ連崩壊する
大阪東協再建の取組、共販価格リューベあたり12,800円を相手に拒否され崩壊する
35,000円賃上げ勝ち取る。
  92年   35,000円賃上げ勝ち取る。
  93年   17,500円賃上げ勝ち取る。
  12月12日 東候物産闘争(神戸市内で原石採取・生コン・産業廃棄物処理を営む東候グループの敷地の真ん中を通る道路工事計画に基づき、話し合いも進まないうちに土地収用が強行されようとした事件)、社会問題化する。この闘争勝利(土地強制収用を撤回させた)は資本主義システムへの社会的運動として評価する必要がある
  94年  2月 9日 生コン産労・全港湾・関生支部による生コン産業政策協議会の結成。後、中央・大阪で政策討論集会
  11月 4日 大阪広域生コン協組結成。後、共販価格14,300円/リューベ
  
  95年  1月17日 阪神淡路大震災
   2月21日 村山総理大臣と会談
早水闘争を3労組で6か月間闘う。アウト問題などで4回目・5回目殺されかかる
  96年   飛鳥会(経営者団体)と3労組との交渉。
   6月17日 近畿生コン輸送協同組合設立する
  10月17日 近畿バラセメント輸送協同組合設立する
  97年  2月12日 大阪兵庫生コン経営者会設立する
   2月23日 哲也(長男)君死去。
2001年  9月11日 アメリカ合衆国国防省・WTCビル攻撃(イラク・イラン・リビア・朝鮮民主主義人民共和国を悪の枢軸という)
  02年  1月20日 60歳還暦祝い(祝う会・コンペ)を各方面から受ける
  12月19日 工藤誠氏死去(連帯OB・多数の会社役員・近バラ協専務理事。享年64歳)。葬儀委員長
  03年   関西生コン関連中小企業懇話会(懇話会)設立。後、114社加入
  04年  1月12日 笹木清志氏死去(笹木運輸社長・神明生コン協組と近バラ協元理事長。享年62歳)。葬儀委員長ベトナム外務大臣訪問
   9月 1日 中小企業組合総合研究所の結成ポンプ圧送、バラセメント、和歌山・舞鶴協組へのアウト加入進む。関生支部40周年体制できる
  05年  1月13日 大谷生コンの強要未遂・威力業務妨害容疑で逮捕
   2月28日 KU会(経営者の相互扶助及び関生支部支援団体)スタートする
   3月 9日 旭光生コンでも同様の再逮捕

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関西生コン50周年 【連帯組関西地区生コン支部執行委員長  武 建一】
<平成15年5月18日(日)宝塚グランドホテル>

 関西に生コン工場が操業して50年が経過、これを記念して生コン業者、骨材あるいは販売店などの関連業者の参加を得、新しい50周年に向けて「関西生コン創業50周年記念シンポジウム」が開催されました。この場で武建一氏は「業界の過去・現在・未来を語ろう」というテーマで次のように語られています。

 関西に生コンが出来て50年、歴史的な記念事業の第一歩として本日のシンポジウムが開催されました。このように多くの方にご参加いただきまして、後援団体として心よりお喜び申し上げるとともに皆さんに感謝の意を表したいと思います。
 今まで生コン業界というのは、何か催しをしますと業者だけしか集めないという、まあ生コンのように硬く、閉鎖的に固まるという傾向があり、今回は販売店とか骨材業界、あるいはバラセメント、そしてトラックとか建設資材関係等々にご案内を致しておりまして、かつてないことだと思います。
やはり田圃の煙突になっては駄目だと言われますように、業界が安定するためには関係する業界と労働組合の協力が必要である。それを実際に示していくことがこれからの活動に重要なポイントではないかと思われる、その意味において今回のシンポジウムは画期的なものだと思います。私が労働組合を代表して話をする理由は何か、二つの理由があると思います。私の所属している、新淀生コンこれの前身が佃工場です。50年の歴史を刻んでいる工場に私が所属しているということ、二つ目はこの歴史の中で43年目を迎えようとしている関係する労働組合のなかで一番年月を経てきているという二つの理由でここに出て、皆さんにご挨拶をする機会を与えられたものと思います。
 このようなことに立会い出来ることは大変な喜びであるし、誇りに思います。50年前に工場が出来て、今近畿2府4県で1600億円ほどの売り上げが上がるほどに成長いたしました。この間多くの先人の皆さんが汗を流し、血を流し大変なご苦労をされたものと思います。先人のご労苦に対して、心より敬意を表するものであります。そしてまた志なかばで亡くなられた方も大勢居られます。亡くなられた方にご冥福を祈りますとともに、哀悼の意をこの機会に申し述べたいと思います。
 さてこの行事は今日だけで終わるものではなく、この機会にわれわれは何をなすべきか、この業界の過去、現在、未来を語るということではないでしょうか。この業界は50年の経過を経ているのにかかわらず、「練り屋」と言われ、生コン産業としての市民権を得ておりません。いろんな要因があると思いますが、一つには、この製品の社会的有用性を社会にアピールすることが出来ておりません。そして、自ら管理する製品に対する品質監査管理能力が十分わっておりません。透明性が低く、公開性が弱く、依然として原価が公開されていない。業界が社会に向かって説明責任を十分果たしていない。加えて、業界の質的レベルを向上するような行事があまりにも少ない。このようなことでは、業界の近代化を図れないと思います。
 今一つは、セメント業界がここの業界を生み育てたわけであります。セメントの国内消費は70%以上を生コンクリートで消費されております、その意味において、セメント業界の責任は70%以上あると思います。この関西において、セメントメーカーはなかなか業界を自立させない、人事、財務、販売、政策すべてセメントメーカーが支配関与するという状態で、労働組合に対する対策は非常に熱心でありましたが、その労働組合のエネルギーを業界の近代化に結びつけることについて、明らかにセメントメーカーの政策は失敗したと思います。
 今一つは、それとの関連で直系工場の代表の方々は挑戦心が弱い、関西の風土として挑戦心が非常に強いといわれていますが、少なくとも、生コン直系の人たちは挑戦心が非常に弱く、すべて先送りをするという悪い癖を持っています。そして、専業のかたがたは一匹狼で、自らの目前の利益だけに支配されるという傾向があると思います。もちろん、労働組合も各々のセールスポイントを経済闘争のみに時間を長期にわたって割いた時期もありました。政策的な基本合意がなかなか出来ないこともありました。これなどは反省点として、われわれは振り返っていかなければならないと思います。
 今の時代において、中小企業が進むべき道は二つの道しかないと思います。その一つ、はグローバリズムの名の下に進められているアメリカ型の徹底的な市場原理主義、これは多数を犠牲にしてごく少数が生き延びる道であります。今一つは近畿2府4県の多くの協同組合が進め、そして全生工組連、協組連が目指している共生、共同によって生きる道、これは多数の利益を目指す道であります。この後者の道を選択する以外に、われわれの生きる道はないと思います。全国47都道府県の中で、この道を選択し大きな成果を収めているのは、この近畿と今日お話をいただく宮崎、沖縄、高知くらいではなかろうかと思います。このような誇るべき成果を持っている生コンの運動を、全国に発信することが今特に重要ではないかと思います。協同組合活動を実行してみますと、どうしても自助努力が疎かになります。事業活動を展開するには、自助努力、共助努力、公助努力が必要であります。競争していいことと、よくないことを区別して対応することが大事ではなかろうかと思います。
 これからの50年に向けて重要な合意事項があります。それは経済は右肩上がりに向かうことは不可能であります。しからば、自らが需要創出するにはいかなることを為すべきであるか、業界において信用を確保するためにはいかなることを為すべきであるのか、ということなどについての合意があります。こういったことが後ほどの討論の中で深められていけば、すばらしい記念行事の催しになるのではないかというふうに思います。

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生コンユーザーフォーラム 【連帯組関西地区生コン支部執行委員長  武 建一】
<平成16年7月20日(火)神戸市産業振興センター>

 阪神・淡路大震災から10年を前に、ゼネコン、設計事務所、あるいはエンドユーザーである一般消費者の声を直接聞き、意見を交わすことで業界の抱える問題点を明らかにし、生コン業界が社会と共生する道をさぐるべく「生コンクリートユーザーフォーラム」が開催されました。武建一氏はパネリストとして参加、業界の問題点、今後の課題などを次のように語られています。

 武でございます。実はAM神戸が神戸市中心に放送されていると思うんですが、毎日11時45分から15分間、森脇健二君が司会する番組、あれは私ども労働組合が提供している番組なんです。今までも紹介していただいたんですが、今日のフォーラムの内容もそういう所でも紹介すると聞いております。
 本日は、連合・交通労連生コン産業労働組合の代表と全港湾大阪支部の代表、私ども連帯労組の代表や組合員が多く参加しております。たまたま私がこの業界に従事して今年でちょうど43年という、比較的長い歴史を刻んでるということもあってパネラーになったというふうに思います。
 この3つの労働組合、消費者に直接影響するような取組みを今まで取組んでまいりました。例えば今問題になっております加水の問題です。加水の問題は我々がずっとチムを編成して追っかけていって発見したんです。業者からああゆうこと出 そうとしない。働いてる者が告発するわけですから、一種の内部告発ですよね。ほとんどの日本の労働組合は、内部告発しないんです。会社と労働組合が表裏一体になって、そして社会に悪いことやってても、それを隠蔽する体質をほとんどの労働組合は持っているんです。
 その一番典型的な例が、もう30数年前の熊本のイタイイタイ病です。あんな有害物質を垂れ流していることを働いている人は分かっていたんです。にも関わらず、企業の利益と労働組合の利益を一緒に考えているものですから、告発しなかった。ああゆう悲惨な事件が、今でも後遺症となっているわけですね。ああゆう体質が日本のほとんどの労働組合にあるんです。ところが3つの労働組合は、労働者の雇用とか労働条件、これももちろん大切なことですけど、それだけじゃなくして、社会に対してどういうふうな責任を果たしていくべきなのかという、そういう産業政策をもって闘っている労働組合、そういう特徴のある労働組合だから内部告発ができるわけです。内部告発によって何が起きているかと言いますと、最近ミキサーの後ろに、雨など降りますとカバーがしておりますよね。今まで、雨降りの時なんていうのはああゆうカバーなんて全く無かったんです。カバーをきっちりする。それから生コン車っていうのは4・5?車、あるいは3?車、あるいは1・75?車決まってるんです。決まっている量以上に積むと品質管理できなくなる訳です。一般の人そういうことほとんど分かってない。だから労働組合があるところは、きちっと過積、加水をしない。水を加えない、過積をしない。これを非常に徹底しているわけなんです。
 エンドユーザーというものの視点に立つことは、非常に大事であると私も思います。アメリカの百貨店の老舗にノードストロムという会社があるそうですが、このノードストロムの社員向けのマニュアル第1条に、「お客様は常に正しい」。じゃあ間違ったことをしているお客様にどういう態度をとるのか。第1条に戻れと。こういうことを書いているそうです。お客様があって初めて製品が売れるわけですから、お客様不在のことをしてはならないという点では非常に正しい指摘だと思います。同時にお客様を大切にするということと、従事している者の満足度というものの整合性が無くてはダメだと思うんです。そういう意味で私は、生コンというのは安定供給する義務がある。品質管理をし、その品質に対する保証システムを作り上げていく義務がある。そして、適正価格。これは三位一体のものだと思うんです。いずれかも欠けるべきではない。
 全国に生コンの値段が?あたり4,500円で売っているところもあります。こういう所は品質管理なんかほとんど出来ていない。関西の今の生コン業者は、残念ながら原価公表しておりませんから説明責任を果たしているとは言えませんが、我々労働組合は原価公表してくれと言っているんです。原価公表無いっていうことは、一体4,000円で売っているところと1万数千円で売っているところと、どんな違いがあるか消費者は分からない。それをちゃんとやるべきだということを、3つの労働組合で今業界に求めております。そこで、今我々はこの生コン業界に改善が必要だとすることについて、いくつか申し述べておきたいと思います。
 まず、環境問題。この環境問題については生コンの業者は非常に意識が弱い。もちろん、これ生コンの業者と労働組合とは鑑のごとく写るわけですからね。我々の場合もそういう意識が弱いということを意味するんですよ。さきほど大林の方からお話ありました、アイドリング、これを最近では信号待ちの時でも車止めてるらしいですね。そういうことが生コンでも可能かどうかと検討したことも無いです。信号待ちの時に止めるという発想も起きていない。あるいは例えば生コンクリートが、工場によってはきれいにしているところもあるんですよ。しかし工場によっては、騒音、粉塵、廃水を垂れ流す、こういうところもあります。環境問題に非常に疎い。
 それからもう一つは、マイスターを作ろうという事で「中小企業組合研究会」は今、来年の4月を目途にしてやっているわけです。資格制度、つまりここをパスしなければ生コンに従事できない。レベルの高い、そういう知的レベルを高めていこうと、その資格を持たなければ、一般の、例えば大型免許証とか、技術とか、そういうことだけではダメですよと。イギリスのロンドンのタクシーがそういう教育をしているようですが、それに倣った、そういうものを作ろうという。
 もう一つは、品質管理、監査システムということについては、共同試験場を作ってくれと言っています。内外からチェックするシステムが必要なんですね。ですからそういう意味で、共同試験場を作って、ちゃんとした独立法人としてこの共同試験場がチェックできるような、そういうシステムが必要だということを求めております。来年の予算ではどうやら大阪の場合は共同試験場を作ろうという方向に流れが変わりつつあるということは聞いております。
 それからもう一つは、広報活動に非常に不十分。広報活動をしていきますと、先ほど言われました様に生コンはこわいとか、生コンっていうのはまだ汚いというイメージがあるんですね。働いている人と従事している経営者もそうですが、広報活動によって、自らの振る舞いが社会的常識をわきまえた振る舞いにしなければ。注目度が高まっていきますからね。そういう意味で、単なる需要創出だけじゃなく、広報することによって、きちんとした品格のあるところに成長することにもつながる。これが非常に不足しております。
 まあ、こういうことを感じ、これから改善しようとこう思いますが、さきほど前田建設の浜野さんがおっしゃったように、各人が良心に従って仕事ができるシステムをどう作るかということだと思います。これ加水とか色々な問題が起きているところはほとんど労働組合がないんです。労働組合のあるところでしたら、少なくともチェックできるんです。ところが労働組合のないところでしたら、あるいは労働組合があっても、労働組合を認めたがらない経営者っていうのは押さえつけてしまうんです。「コスト、コスト」とね。なぜ加水するかというと能率がよくなるんです。やわらかいコンクリート、流し込みが非常にし易くなる。能率の為にあんなことやっているわけです。労働組合が健全に働いていないところは、そういうチェックする能力がない。そういうことしない。そういう意味では健全な労働組合、そして、健全な企業、あるいはエンドユーザー含めての協議機関。その中で、それぞれのポジション、製造する側、輸送する側、ポンプ、設計事務所、建設会社、それぞれの仕事について、良心に従って仕事できる仕組みをきちんと作るべきではないかと思います。
 アメリカにはスペシャル・インスペクター制度というのがあるようです。これは、設計、施工、品質管理に至るまで独立した法人としてきちんとチェックしているようです。日本でもそういう制度が去年の7月に東京でスタートしたと言われておりますが、どうもまだ根付いていない様です。コストがかかりますから。ですから、やはり各人の良識、良心に従って仕事ができる仕組みがいかに大事であるかというふうに私は思うわけであります。

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近畿生コン関連協同組合連合会設立記念シンポジウム
【連帯組関西地区生コン支部執行委員長  武 建一】   >> 当日のレジュメはこちら
<平成16年11月6日(土)リーガロイヤルNCB>

 横断的な共同事業の進展、品質管理体制の強化発展を目指し、近畿生コン輸送協同組合、近畿バラセメント輸送協同組合、大阪生コンクリート圧送協同組合の3協組からなる近畿生コン関連協同組合連合会が正式に法人化するはこびとなりました。これを記念して、「設立記念シンポジウム」が開催されました。武建一氏はパネリストとして「セメント生コン関連産業を取り巻く情勢と協同組合に対する労働政策について」というテーマで語られています。当日のレジュメと併せてご紹介します。

 武です。私は限られた時間で、4つほどのことをお話ししたいと思います。
 1つは、今日のシンポジウムに参加されている皆さんと、私の思いがどこで共通するのか。ぜひ共通していただきたいということについて、最初に申し上げます。
 2つ目には、今、我々が生活しているこの社会というものを、どのように見るのか。この社会が非常に素晴らしい方向に進んでいると見るのか、それとも、どうもやはり問題があると見るのか。その見方によって、協同組合なり企業なり我々の生き方の基本スタンスが当然違ってくるだろうと思います。そういう意味で、この時代認識をどうするのかが2つ目の問題です。
 3つ目の問題は、そういう時代認識の上に立って何をなすべきなのかと。よく協同組合では事業活動や事業方針というようなことです。それを3つ目に話したいと思います。
 4つ目には、労働組合は一体、皆さんの事業活動について、労働組合としてはどういう立場で取り組みをしようとしているのかと。おおよそ4つの問題についてお話をしたいと思います。
 まず、1点目の問題です。多分、今日のシンポジウムは、先ほどお話があったように連合会がスタートして初めてのシンポジウムなのです。このシンポジウムを開いた主催者の意図、目的というのは、多分このシンポジウムを通じて3つの協同組合が1つの玉になるわけです。いっそう固い団結を作り上げるというのが一つあるのではないかと思います。
 そこで、一体団結を強めていくには、団結とは何なのかということです。今、この団結の2文字、分かっているように見えますが、団結を強化するためにはしていいことと、悪いことがあります。そうすると、していいことというのは一体何かということを知ることが、して悪いことを排除することにつながります。そういう意味で、団結をする上において、それぞれの事業主なり、それぞれの人間というのは生い立ちが違っているので不一致点もたくさんあります。ところが、不一致点をどんどん拡大していけば、団結などできないわけです。しかし、一致するところもまたたくさんあるわけです。共通の利益を追求しよう、あるいはお互い同士助け合っていこうなど、いろいろな共通項があると思います。ですから、やはり団結するというのは、不一致を留保して一致点を拡大することではないかなと思います。不一致点だけを一生懸命強調する人たちや会社がありますが、これではなかなか団結できない。そういう意味で、不一致を留保して一致点を拡大するという、これが一つではないかと思います。
 それから、他人の不幸を喜ぶというケースが業者の場合はあります。「あの会社がつぶれたら、おれの仕事は増えるのではないか」など。資本主義という社会は競争社会ですから、そういう意味では、他人の幸福を喜ぶよりも不幸を喜ぶという世界に今まで座ってきているのです。百瀬先生が先ほどおっしゃった「商いを道徳まで高める」ということは、すなわち他人の幸福を共有するということではないでしょうか。他の会社がよくなるということを共有するということではないでしょうか。それが団結の中身の一つではないでしょうか。
 それから、互いに競争しないことというふうに言っていますが、競争していいことと、して悪いことがあると思います。競争していいことは何か。先ほど百瀬先生のお話にもありましたが、やはり、例えば生コン業界、ポンプ業界、バラ業界もそうですが、運転手がサービスドライバーのように、お客さんに非常に接客態度のいい事業主もあれば、待ち時間になると運転手がハンドルの上に足を上げて、はたから見ても印象悪いような事業者もあります。よく手入れしている車もあれば、まるっきり汚れっぱなしの車もあります。これも汚れっぱなしの車などを見ると、「この会社の社長はどんな社長なのか」と思うような感じです。つまり、車を奇麗にする、よい接客態度を取る、社会的な常識を身に付ける、構内をきちんと清掃しておく、こういうことなどは一生懸命競争したほうがいいのではないでしょうか。競争して悪いことは、価格を下げたり、自分の会社だけが仕事を取りたいから一生懸命競争していくというようなやり方。こういうのは競争して悪いということではないでしょうか。競争してよいことと悪いこと、すなわち競争をして業界を破滅に追いやってしまう、結果的には自社だけがよくなろうということが他社を不幸にし、やがて自分の不幸につながるような、そういう競争をすべきではありません。そういう競争をするということは、団結にとっては悪いということです。そして、やはり、互いのよいところに学び、あるいはまた悪いところに学ぶ。他人の良いとこだけではなくて、悪いところに学ぶということでなければとても成長しません。そういうことが団結強化にも大切な共通項ではないかと私は思います。そういう意味で、団結強化のために、このシンポジウムが大きな役割を果たしていただきたいのです。
 2つ目の問題は、百瀬先生はじめ経験者の方がお話をされるということは、知的レベルを上げようということだと思います。知的レベルを上げるということは、今の社会が求めているのは何なのかと。それぞれの事業主なり協同組合に求めているもの、それはここに要約して3つ書きました。
 今年の6月1日から、大阪、兵庫の生コンクリート協同組合は、品質に対する保証システムというものが新しくスタートしました。 それは損保会社と提携をして、もし生コンを打設した現場で事件あるいは事故が発生すると損保会社が保証しますと。これは今まで50年の歴史の中で初めてです。多分、全国でもこれだけ市場規模の大きいところで、こういう保証システムができているところはないと思います。つまり、これは顧客の利益を考えていく、顧客の視点に立つということです。いくら品質保証するといっても、システムが完成してなければ口だけで誰も信用しません。
 今年7月、ユーザーフォーラムが神戸でありましたが、そのフォーラムのときに、マンション管理組合の方々やマンションを実際に買う人たちの意見として、協同組合が品質保証したということは非常に画期的なことであると。今どき、先ほど先生のお話にあったように、大企業でもいつつぶれるか分からない。協同組合が品質保証するというのは、協同組合が全部つぶれることはありません。協同組合に加入している全てが、一気につぶれることはありません。協同組合が品質保証したということは、それだけ品質に対する社会的信用度が高いのです。消費者が期待するところに応えていると言われています。掛けた側のほうはあまりその価値を感じていませんが、受ける側のほうは非常にこの価値の高いことを認めています。
 それから、品質管理システムは、これは生コンでいえばマル適(全国統一品質管理監査制度)です。マル適の厳格な審査をすべきです。そしてマル適によって、アウトとの差別化を可能にできます。これがまた社会的信用度につながるのです。圧送の場合は、圧送の協同組合で最近、いわゆる品質をチェックする委員会を設立して、基本圧送料金の収受に加えて品質をチェックするシステムを作り、これを一つの付加価値として打ち出そうとしているのです。これは非常に大切なことではないでしょうか。世の中が求めていることです。
 それから、当然のことながら、生コンにしろ、圧送にしろ、バラセメントにしろ、適正価格というのがあります。そして、安定供給。この三位一体でなければ、世の中に対して自信を持って我が産業、我が企業というものを打ち出すことはできません。そういうことをきっちりと、常々、必要だという認識を高めていくために、やはりこういう知的レベルアップの機会は必要ではないかと私は思います。
 さて、3つ目の問題は、今の時代が何を求めているかということです。一つは、今の時代をどう認識するかという問題があります。結論から言うと、今の時代というのはいわゆる商業資本主義から発達して、イギリスの産業革命によって産業資本主義になりました。産業資本主義も限界に来て、今やサイバー資本主義や、いわゆるポスト産業資本主義と言われます。従来のような産業資本主義のシステムというものが限界に達してきているのです。従来のようなやり方ではどうにもできなくなっているというのが、今の時代状況の特徴ではないかと思います。
 ですから、この今の時代を見る場合、今までのシステムが大きく転換せざるを得ません。もっと言えば、それだけ生産力が発展し、生産力の発展に伴ってお金や技術、そういうものを集中、集積しているところには集中、集積しています。ところが、私はこれの使い方をめぐって、従来のシステムには限界がきているのではないかと思います。
 そういうことを象徴するような言葉として、グローバリズム、IT革命、金融革命ということが言われており、日本のお金にして1日で240兆もの金がばくち的に世界を移動しているのです。とても想像を絶するような事態が進行している社会に我々は今生きているのです。
 こういう社会の中で、一体何が起きているのでしょうか。我が国においては、従来の利権構造に大きな変化が出ています。もともと中小企業は自民党歴代の政権が安定維持するために保護したり、あるいは助成措置を取ったり、農民に対しても保護したり、助成措置を取ったりしていたわけですが、これは限界に来ています。ですから、簡単に言えばこれを全部切り捨てにかかるのです。要するに、規制緩和というのはその中身です。今、皆さんがやっておられる共同経済事業は、独禁法の除外規定というものを受けているのです。要するに、談合して値段を決めることは、今、法律上認められているのです。しかし、今の政府は、実際は、こういうのも全部やめようと言っています。「こんな、いわゆる護送船団方式などは取っ払ってしまえ。競争しなさい」と、こう言っているのです。ただ、しかし、いろいろな抵抗があり急にはそれを取っ払うことができないだけであって、今の小泉さんの進めている基本精神は、中小企業保護、農民保護、労働者保護政策は全部やめてしまう。労働法で言えば、労働保護法というものを全部規制緩和して、労働力流動化政策と称して、安い、そしていつでも切り捨てできるような非正規労働者をどんどん生み出しているのです。いわゆる「勝者が一人勝ちし、弱者を切り捨てる」というシステムが我が国では実行されているのです。
 公共投資で言えば、例えば国民の安全や安心というところに、本来、投資をすべきです。地震の多い国ですから、津波が発生したらスーパー堤防を造るなどということを直ちにしておくべきです。生活道路を充実する、下水道を完備するなどすべきです。しかし、こういうところにあまり関心を示さず、むしろ軍事費だけは安定して伸びていきます。ほかの公共投資は押さえ込んでしまうという動きだと思います。今起きている幾つかの制度の変更、基本的にはいわゆる内に対しては抑圧機能を強め、外に対しては侵略性を持つような流れ。ここで言う戦争のできない国から戦争をできる方向に法を変えてみたり、有事法制を決めたり、こういう一連の動きというのは外に向かっても強者の論理を発揮しようという、残念ながらそういう動きに今の政治の流れはなっているのではないかと思います。
 さて、そういう中において、これから希望を持っていくには一体どうすればいいのかということを次に述べます。
 一つは、それは、法則をつかむということです。そしてもう一つは、我々はこういう激変において、どのようなスタンスで対応していくのか。こういう2つのことを、ここで言おうと思います。弱肉強食社会というのが資本主義の特徴です。資本主義というのは競争を原理にしていますから、資本主義で競争がなくなれば、資本主義でなくなるわけです。根本的に資本主義というのは競争です。資本主義の中で出来上がっている社会秩序や法秩序、基本的には資本家の利益を擁護するために必要なシステムです。もっと端的に言えば、資本家の独裁です。最終的には資本家の独裁なのです。資本家に都合の悪いシステムというのは変えてしまいます。なにも中小企業のためとか労働者のためとか、こんなことは基本的には考えていません。それは当然といえば当然でしょう。封建制社会の中で、封建領主にとって必要な法をつくったり、必要な社会秩序をつくる。これは当たり前のことです。資本主義社会で資本家に都合の良いような秩序が出来上がるというのは、当然といえば当然です。そういう原理原則が現実に働いているわけです。ところが表向きは全部公平平等です。ですから、特定の人のために法律があったり、特定の人のために社会秩序があるとは思っていません。しかし、原理はそういうものだということがまず基本なのです。
 同時に、この弱肉強食の資本主義の社会というものは、我々はこの社会に住んでいるから、これがずっと永遠に続くであろうと認識しているわけです。しかし、現実には人類が誕生して500万年と言われている人類の歴史の中では、こんなに弱肉強食の社会というのはそんなに長い歴史ではないのです。こういう競争社会というのは、むしろ短い歴史です。歴史の発展法則から学ぶとするならば、共生、協同の時間のほうが人類社会の中では長いという、私はこれは歴史の発展法則から学ばなければならない一つのポイントではないかと思います。
 そして、こういう中で、現実にはいろいろな対立が起きています。例えば、フセインとブッシュが対立しているように見えました。しかし、あれは中東諸国においてアメリカ型の社会を押しつける、アメリカから見て天然ガスや石油資源を略奪する、そして、アメリカを軸にした経済構造を作り上げていくという目的で軍事力にものを言わせてたたく。これに対するアラブ人民の抵抗、それからEU諸国の反発、そして日本や中国が三つどもえになってお互い同士の貿易摩擦が発生しています。これは本質的には、強者の論理が資本主義の論理なので、それと、それに反する者との戦いが世界を一つにして大きく渦巻いてるのが現状ではないかと思います。しかし、こういう時代はもう限界にきています。そういう限界に来ているということについて、百瀬先生のお話で資本主義あるいは社会主義というものを修正して、ヒューマニズム、人道主義に基づく協同主義の社会、これこそがこれからの社会だと先生はおっしゃっています。まさに、私もその意味では、限界に来た社会は、従来型の社会は、もう不可能だということで、私は一つの先見性のある見方ではないかと思います。
 具体的には、一体、我々は何をなすべきか。その場合、先ほど百瀬先生のお話にもあったように、「中小企業は弱者である」という観点に立つのか、「強者である」という観点に立つのか。言うまでもなく、前者の立場に立つべきでしょう。中小企業は人的にも、資金的にも、技術的にも、情報力においても、全て弱者の状態に置かれています。弱者という立場に立つなれば、その弱者の立場に立っている者が一致団結し共同事業をするということではないかと。共同事業をする上において必要なことは、新しい技術開発や品質保証や管理システムを強化するなど、今、大阪、兵庫などで取り組んでいることを参考にして、この皆さんの連合会の中でも取り組んでいただきたいと思います。
 それから、取引相手との対等性を確保するために交渉能力を向上させるには、団結力、行動力を必要としています。そこで、ここに書いています1994年7月に今の大阪広域協組がスタートしたわけですが、広域協組がスタートしたときに、現在の大阪兵庫生コンクリート工業組合の理事長(04年当時)、当時の広域協組の初代理事長はこう言いました。「お願いから戦いに意識を変えなければ駄目だ。いくらゼネコンにお願いしても、適正価格を収受できない。だから戦いだ」と。そういう意識転換によって、今の広域協組の適正価格が収受に向かっていきました。今の連合会の皆さんも、そのようなスタンスに意識を変えていくべきではないかと思います。これを教訓にすべきではないかと思います。
 最後に、労働組合はどういうことを基本にするか。簡単に言えば、労働組合はここに書いているようなテーマについて、皆さんと呼吸を合わせて一緒に結果を出すような取り組みをするということです。一番の問題は、業者がやることについては、業者だけに任せるべきだという態度を取る労働組合があります。今日、出席している労働組合にはそういう立場は取っておりませんが、今日、出席していない労働組合はそういう態度を取っております。これは根本的に間違っているし、無責任な態度だと思います。先ほど百瀬先生の話にもあったように、事業主と労働組合は弱者で共通しています。お互い同士が手を携えて共通の目標のために努力しなければ、共同事業活動にしても妨害するのがたくさんいるのです。その妨害に対しては、労働組合は労働組合なりに手をつないで協力し、一つの課題を実現するということでなければ結果は出ません。そういう意味で、今年いっぱいで解決すべきことなどについては、この中に書いています。
 時間が参りました。そういうことで、とにかく呼吸を合わせて一緒に取り組んでいこうではありませんか。結果を出すということが大事であるといことを強調して、私の話を終わります。

 

当日のレジュメ
セメント生コン関連産業を取り巻く情勢と協同組合に対する労働運動の政策について
全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部   執行委員長 武 建一
1. はじめに
本日のシンポジウムに私は次のことを期待したいと思います。
第一、 生コン関連協同組合連合会の一層の団結強化を図ってもらいたいと思います。団結とは何か、「不一致を拡大せず、一致を拡大すること、他人の不幸を喜ぶことなく幸せを共有すること、互いに競争しないこと、互いの良いところを発見し、それに学ぶこと、共通した利益を発見すること」等ではないでしょうか。
第二、 連合会の社会的認知度を高め、会員の知的レベルアップを高めてもらいたいこと。今の社会が成長産業として求めていることは
  @ 品質管理、保証システム
  A 適正価格
  B 安定供給
  このことを可能にするには自助努力に加え関係者の協力と自らの知的レベルアップが不可欠です。本日のシンポジウムはこの目的を達成する記念すべき集いと思います。
     
2. 今日の時代が求めていることは何か
(1) 商業資本主義、産業資本主義、ポスト産業資本主義、サイバー資本主義といわれています。
(2) 今日の社会は国境を越えた大競争(グローバリゼーション)IT革命(情報通信の発展)金融革命(博打的取引を可能にする)規制緩和(競争させる仕組み作り)これらは人間の想像をはるかに超すものがあります。
(3) このことにより何が起きているか
  @ 補助制度(農民、中小企業関係への打ち切り、縮小)
  A 中小企業と荷主との取引関係の変更とコストダウン
  B 公共投資は軍事費に偏る
  C 中小企業倒産、自殺、大量失業、大企業の利益増進
  D 戦争のできない国から戦争のできる国へ、民衆への抑制機能強化策、政治不信、治安悪化、腐敗
(4) これらの社会に希望を持つにはどうするべきか。
  @ 弱肉強食の競争社会が続くと見るか否か、歴史と実践から学ぶこと(500万年の人類史、アメリカ、EU、アラブの民衆との対立矛盾)
  A 次なる社会とは修正資本主義、修正社会主義、ヒューマニズム(人道主義)の協同主義の社会との百瀬先生の論、先見性のある論だと思います。
  B 具体的に何を成すべきか。中小企業は強い立場か否か(資本力、人材力、情報力、財政力)同じ立場に立ってこそ共同事業が可能です
  時代認識を共有すること。今までみたいな経済成長は不可能であり、コストアップの要因はあっても個社ではコスト回復能力はないことを学んでおくこと。
  「新技術開発、品質保証・管理システム」としてマル適マークに取り組んでいる大阪兵庫工組、各協同組合に学ぶこと。
  取引先とは従属関係ではなく、対等性を確保すること。それには交渉能力の向上と団結力、行動力を必要としている。大阪広域協組は1994年7月に発足しました。このときの松本発言「お願いから闘いだ!」意識改革が大切であることを考えています。この時の組織率37%ほどでありました。これでは、取引関係の改善はできません。どうして組織率を高めたか教訓しよう(アウト・インの大同団結、バランス人事、1995年の早水闘争の果たした役割)
     
3. 労働組合の今後の対応
(1) 業界のことは業界が自発的・自主的に解決する問題でなければならず、労働組合としては関与すべきでないとの立場を取っているところもあるが、これは無責任なことである。これは歴史と実際を見れば明白です。
(2) 中小企業を元気にすることは日本の経済産業社会を良くし、雇用を守ることになる。
(3) バラセメント運賃を下げ止め、SS共同利用、先方引取車、組織拡大など大きな成果ではあるが・・・
  @ 適正台数、輸送量、運賃改定
  A 基盤整備へのメーカーの責任と負担
  B 交渉権と契約形態の変更など未解決であり、年内の解決に全力を尽くす
(4) ポンプ210社が部分共注、成果であり、更に発展。
(5) 生コン輸送、共同輸送事業、コスト平準化であり、業界全体の問題として取り組む。
(6) 大阪広域協組強化に向けたアウト社との関係。販売店各社が守るべき4条件(@価格、Aマージン、B与信管理、Cアウト対策)。和歌山、舞鶴、滋賀県、再建について。

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広域協同組合設立の背景と軌跡  【連帯労組関西地区生コン支部・記事提供】

「業界崖っぷち」の危機から 〜 大同団結と共同歩調で 〜

  

 バブル崩壊後、建設業界を底辺で支える生コン業界は、「業界ぐるみ倒産」という崖っぷちの危機に遭遇。91年以降、わずか3年で大阪府下の51社もの生コン工場が倒産廃業に見舞われ、数多くの労働者の雇用が喪失した。
 受注減に苦しむゼネコンは、そのツケを生コン業界に求め、採算を無視した買い叩きによって生コンの市況は大幅に低下。セメントメーカーも自社系列の生コン会社のみの生き残りを視野に「安値乱売」を放置。セメントメーカーとゼネコンという大企業の狭間で揺れる生コン業界は、大阪全域の中小生コン会社を対象に協同組合を設立することで、買い叩きと乱売に抵抗。イン・アウトの大同団結と関連労働組合の共同歩調によって大手との
対等取引関係の確立をめざし、業界再建の道を切り開く契機となったのが大阪広域協組の設立であった。
 94年の広域協組設立時、関連労組は生コン産業政策協議会(生コン産労、全港湾、連帯労組)を結成。以降、労使が一体となって生コンの品質保証・安定供給・適正価格を追求。労組間の共闘で協組の組織率を高め、業界再建策を実行する政策闘争の典型を構築してきた。


大企業支配から業界自立への術
 【1993年】2月、通産省は、中小企業近代化促進法に基づく「生コンクリート製造業実態調査報告書」をまとめ、生コン業界の基本的な方向を提示。翌94年3月、「生コン製造業の近代化計画(案)」を提起し、協組による共同事業の課題として取引の近代化と「品質確保・安定供給・適正価格」を柱とした共販事業の充実と再構築が最重点課題であることを指摘した。
 この通産省の提起を受け、大阪兵庫生コンクリート工業組合は93年7月、大阪地区協組内の各生コン企業に対し、「経営改善政策懇談会」を開催。生コン出荷量の激減と過当競争が生コンの原価割れを起こす要因となっていること。現状を放置すれば協組は崩壊し、さらに破倒産が続出。生コン業界はゼネコンの隷属的地位となり下がり、業界の自立への道は永久に閉ざされると危機感を募らせた。
 【94年】2月、大阪の各地区業界代表は、それまでの労組敵視政策を改め、政策問題について労働組合と共同のテーブルをつくるべきであることを提起し、各協組理事会で議決。各協組は、労使一体で生コン業界の再建に取り組むことを理事会で正式に決定した。その内容は、阪南・市内・北大阪・東の4つの協組を合併し、準備会を発足。適正生産委員会、品質管理委員会、越境・シェア委員会、適正価格委員会をつくり、労使で取り組むことを確認した。
 この動きに連動して、労働組合間の共闘関係が構築され、生コン産業政策協議会(生コン産労、全港湾、連帯労組)が発足。以降の政策闘争を推進する基本的な枠組みがスタートした。
 朝日新聞が3月14日付で『生コン業界がけっぷち』の特集を報道し、業界の団結を訴える。
 4月26日、第1回広域協協設立準備委員会を開催。同年秋をメドに4協組で広域協組を設立し、品質保証・安定供給・適正価格を三位一体とした業界再建へのスタートを切った。
 11月4日、大阪広域生コンクリート協同組合が設立総会を開催。大阪地区・北大阪・東大阪・阪南の4協組が合併し、松本光宣氏を理事長に選出。翌95年2月から共同販売事業の開始をめざすこととした。総会には、46社・52工場が参加。当初目標から大きく下回っていた(協組組織率44%・目標80%)ため、員外社の協組加入促進が当初か
らの課題となっていた。

震災被害を教訓に品質確保策を提言
【95年】1月17日早朝、阪神淡路大震災が発生。震度7の激震を記録し、神戸の街は一瞬に崩壊。日本の「安全神話」も崩れ去った。
 連帯労組はいち早く、国会議員団による「公共建造物の被害原因を究明する」調査活動を実施。随所で確認された施工不良や手抜き工事、生コンなど建設資材の品質不良という現実を直視し、「公共工事と品質確保の抜本的見直し策」を提言。コンクリート施工においては、第三者機関のチェック機能の導入や安全・品質確保のための制度、新たな品質保証制度の確立を提唱した。
 8月1日、構造改善事業の推進と近代的労使関係の確立をめざし、業界の対労窓口機関として「飛鳥会」(現・経営者会)を発足。「広域協組の機能強化と構造改善事業を推進する為には、労働組合の協力が不可欠」(松本初代会長)と語る。
 12月、生コンの品質管理の透明性及び公正性を確保し、品質保証体制の確立を図る為、通産・建設省の指導を得て、全国生コンクリート品質管理監査会議が設立される。
 【96年】3月、広域協組は本格的に活動を開始し、労使一体となって業界再建に取り組むことを確認。4月より完全週休二日制を実施。7月より現金決済、10月より新契約物件1万3千円(協組設立前・8千円台)。
 有力アウト社の協組加入促進で、組織率90%以上(104社・119工場)の協組に成長。
 同時に、京都・洛南協組が共注・共販体制に入り、奈良協組が共注・共販体制の強化に入る。
 【97年】2月、業界の新たな対労組織として「大阪兵庫生コン経営者会」を設立。11月、経営者会が労組法上の使用者団体として労組と交渉し、合意内容を協定化するという確認を臨時総会で決定。業界の近代化推進と、企業の枠を越えた集団交渉によるコストの平準化、産業別賃金・雇用・福祉制度の確立へ新たなスタートを切った。
 【98年】98春闘以降は、労働5団体(連帯労組、生コン産労、全港湾、運輸一般、CSG連合)の統一要求による生コン経営者会との共同交渉に発展。労働側は共闘の力で、雇用・生活確保と業界再建にむけた政策課題を一体的に追求。業界再建の波は、近畿一円にひろがる。
 【99年】2月、関西地区の全組織労働者と業界団体2千数百人が「不況打開・業界危機突被、雇用と生活確保をめざす決起集会」を開催。労使が政策課題を実行しなければ、業界の未来はないことを確認しあう。
 99春闘で、5労組と経営者会との間で工場集約化にむけた共同雇用保障制度を協定化。「工場集約化にともない余剰人員が出た場合は、経営者会加盟各社が共同して雇用保障する」ことを明記した。

政策運動は各地各産業へと拡大
 【2000年以降】新たな業界の危機が進行するもと、政策運動は各地区、関連産業へと発展。大阪兵庫から京都、奈良、岡山、和歌山、舞鶴へとひろがる。大阪兵庫では、関西生コン操業50周年記念シンポジウムを契機に、組合総研の設立、新時代の基盤整備事業、マイスター塾などを提起、推進する。
 さらに、ポンプ(圧送)業界では、00年の業種別労働組合を結成後、04年には圧送協組を窓口にゼネコン215社と共注共販体制に入り、基本料金収受へ大きく前進。バラセメントでは、近畿バラセメント輸送協組の組織率が70%以上(84社・629台)に急伸。適正運賃収受と基盤整備事業に着手している。
 こうして、20数年前(75〜82年)の政策闘争を凌駕する質の高さとスケールで、大企業支配に対抗する中小企業労働運動が大きく前進した矢先に、今回の権力弾圧が仕掛けられた。


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2つの事件を結ぶ「地下茎」 〜 JR尼崎事故と権力弾圧 〜
【本文・安田浩一氏(ジャーナリスト)】

際限なき規制緩和は声明と安全を脅かす

弱肉強食のグローバル化・規制緩和がすすむなか、ひと握りの強者と大多数の弱者に淘汰され、国民の生命と安全が脅かされている。競争社会と産業のもとで中小企業は大企業の力に翻弄され、働く者の権利と雇用は破壊される。利益最優先の経営は、陸・海・空輸送の安全・安心を置き去りにし、JR民営化・史上最悪の尼崎脱線事故へと暴走した。
一方この間、セメントメーカーとゼネコンという大企業の「谷間」に揺れる関西の生コン業界で、法が定める中小企業協同組合方式による業界の共生・共存策が大きく前進。その政策が他産業にもひろがり、全国に発信されようとした矢先に異常な権力弾圧が仕掛けられた・・・

安全よりも「稼ぐ」ことが社の方針に
「JR西の天皇」とも称される井手正敬氏(JR西日本相談役)は、私の取材に対して次のように答えた。
 「営利の追求と今回の事故は全く関係ない」
 国鉄解体を強引に推し進めてきた井手氏にとって、「営利の追求」を否定されるわけにはいかないのだろう。それこそが民営化の使命でもあったのだ。
クビ切りを含めた合理化を断行し、駅業務の外注化に踏み切った。「私鉄との競争」を言い立てて、過密ダイヤと列車速度のスピードアップに力を注いだ。さらに、日勤教育などの異常な労務政策を生み出し「井手イズム」に忠実な者だけを重用した。
91年、JR西日本は42名の犠牲者を出した「信楽高原鉄道事故」を引き起こすが、裁判でカタが着くまでの12年間、一切の謝罪を拒み続けた。「天皇」とその取り巻きは、ひたすら利益と合理化を両輪として、民営化というレールの上を疾走したのである。
今年4月、JR西日本大阪支社では「支社長方針」と題された資料が幹部社員に配布された。方針の筆頭に掲げられていたのは「稼ぐ」なる項目だった。そして2番目に「安全安定輸送」が記されている。同社にとって「安全」は文字通り「二の次」でしかなかった。
確かにJR西日本は「稼ぐ」ことには成功した。徹底した合理化の産物ではあるが、過去5年間において経常利益を434億円から744億円へと大幅に伸ばしている。しかし、安全対策設備に対する投資は、わずかに10%増でしかない。だからこそ今回の事故の現場となった福知山線では、新型ATS(自動列車停止装置)が未整備のままだった。同路線は民営化後に列車本数が4倍に増えているというのに、必要な安全投資がされていなかったのだ。
もちろんこうした体質は、JR西日本、あるいは「井手イズム」だけに責任を帰して済む問題でもない。
競争と利益至上主義、そして安全コストの削減―これを促したのは、際限なき規制緩和を進める政府なのだ。
私は鉄道安全政策に関する国土交通省の内部文書を入手した。「鉄道行政のあり方」なる項目には、次のような文言が記されていた。
<社会的規制については、政策目的に沿った必要最小限のものとする><低コスト化による鉄道事業の活性化を期待する見地から、市場原理に委ねられるべきものは市場原理に委ね、国の関与を縮小する>
国家としての安全責任を放棄し、「市場原理」にそれを任せるという、露骨なまでの規制緩和政策が打ち出されているのだ。言い換えれば、安全は「市場」へ売り渡されたことになる。
私はそこに、いまだ熾烈な競争原理から抜け出すことのできない生コン業界と業者が重なって見えてしまう。ゼネコンやセメントメーカーの思惑に支配された生コン業者は「ダンピング」を強いられ、利益なき操業を続けている。低価格政策の一環として一部の悪質業者は「シャブコン」(規定以上の水を加えた粗悪生コン)を納入し、欠陥コンクリートによる建造物を次々と生み出した。
大資本に操られた「市場原理」は、業者を「買い叩き」で振り回した挙句、道路やマンションの安全性にも、大きな脅威を与えることとなったのだ。
こうした「採算と安全を無視した市場原理」に対し、真っ向から反対の声を挙げたのが、全日建関西生コン支部である。大阪地区における中小業者の要請を受けて、共同受注・共同販売の組織づくりに奔走した。
協同組合の組織化を進めて適正な販売価格を維持し、安全な生コンを納入する―生コン支部が掲げた「産業政策運動」は、多くの中小業者の支持を集め、大阪地区において約8割の協組加盟率を達成させるに至った。
ところが「競争と利益至上」を是とする大資本、さらには市場原理の育成に血道をあげる国家は、生コン支部の政策運動を敵視し、警察力まで動員して弾圧を加えたのである。
国家権力は安全よりも「市場原理」に肩入れしたわけだ。

市場原理の国策が生み出す悲劇
私には、「JR福知山線脱線事故」と「生コン支部弾圧」が地下茎で結ばれているような気がしてならない。二つの異なる事件は、規制緩和と市場原理の「国策」によって生み出された「競争と利益重視」は一方で107名の死者を出し、もう一方では労働組合に「強要未遂、威力業務妨害」なる罪名を被せたのである。
 いまこそ、この二つの事件を結ぶ地下茎を断ち切るべきだ。「市場」には安全、人命、そして生活を守るだけの力量などないことが、はっきりしたではないか。熾烈な競争社会が強いるのは、悲劇と惨劇だけである。


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