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要 宏輝のコラム

見出し

 
 7月号から9月号までは、三つ目のテーマ「現代企業別労働組合批判と関生型労働運動」について連載します。従前のテーマと比べ、組合員の皆さんに分かりやすい内容になっています(機関紙部)。
 
  はじめに

 「昔、春闘は経済ドラマの主役だった/1976年から公労協の統一ストがなくなり、春闘○連敗が語られなくなり、春闘の産業間の足並みが乱れ、企業間の賃上げの開きが普通になり、1995年からは私鉄の中央統一交渉もなくなった/1989年、総評がなくなって、連合(労戦統一)が生まれる/2001年、労働省が厚生省に吸収されて厚労省に、労政局長もなくなり、労農記者もいなくなった/経営側も統一行動の必要がなくなり、2002年、日経連が経団連に吸収されなくなってしまった/春闘の「原風景」は消え去り、そして、2014年から「官製春闘」がはじまった」…春闘をめぐる労働世界の変遷を「時事エッセイ風?」にまとめるとこんなところか。

 1.現代の企業別労働組合:労働運動の構造問題

 (1) 「日本には労働組合(トレード・ユニオン)がない。あるのは企業別組合(企業単位組合:カンパニー・ユニオン)だ」と言われてきた。国際基準は、個人加盟の職業別・産業別労働組合で、現在、それに該当するのは関生の他には海員組合があるだけだ。

 日本では、単組は会社に対して弱く、上部組織である産別に対して強い。御用組合であるほど会社に弱く、組合員の多い大単組であるほど単産に強い発言力を持つ。

 また、単産は大単産であるほどに上部団体であるナショナルセンターやローカルセンターに影響力を行使できる。まともな単位労働組合(単組)は上部組織の作為(指導)を求め、御用組合は不作為(指導拒否)を求めるのが企業別労働組合の習性だ。労働運動とは企業内でおこなうべきものと心得、社長に憎まれ、上司ににらまれるような職場の労働運動はしない。産別運動とは上部組織の会議に出席することとしか認識していない。

 (2)連合は構成組織(産別)に対して「産別自決」でやりなさい、産別は単組に対して「単組対応」つまり好き勝手にやってよろしいといった、傘下の産別や単組に何の指導力・規制力もない融通無碍な「仲良しクラブ」に堕したままである。 私は、会社>単組>上部組織(産別)>上部団体(連合)といった、「運動上の下剋上」の組織構造、この、文字通りの「構造問題」の最たるものを改革せよ、「連合評価委員会報告」(2003年)や「連合行動指針」(2005年第9回大会決定:企業や使用者による不正や不公正を見逃すことなく、その社会的責任を全うさせる運動を推進する、ほか)を実践せよ、と訴え続けてきた。

 しかし、連合や産別は方針では「企業別組合主義の克服」をうたいながらも、実際に企業別労働組合の組織運営にコミットしようにもできない相互関係になっている。

 「顔合わせ、心合わせ、力合わせ」が、連合結成時のスローガンだった。「ただ酒」「ただゴルフ」(注1)で顔合わせはできても、心合わせ、力合わせができていない。この30年近くで失ったものは大きい。分裂と統一の歴史を検証し、反省することなしに過ごした。責任の所在、自己批判もなく、それを曖昧にしたままで『攻めの運動』をやろうとしても本当の心合わせ、力合わせができるはずもない。

 連合によって、労働運動の「御用化」「ノン・ポリ化」が進んだことは、労働者にとって不都合な真実だ。


 (注1)「疑獄、汚職事件もただ酒をご馳走になる習慣から起きる」(1954・京大瀧川学長の式辞)、「ただ酒には大きい落とし穴が、ただゴルフも大変危険であることを肝に銘じ、けじめを失うな」(1997・京大井村学長の式辞)は、けだし金言だ。



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 2.「法外組合」としての企業別労働組合:自主的団結体といえるか

 (3)総評40年の歴史の内、30年間は産別が力をもっていたが、今は廃(すた)れてしまった。企業の力が勝った結果だ。一企業の利益よりも労働者全体のことを大事とする「階級闘争」派が刈りとられてしまった。労務管理(査定・内部昇進制など)によって、活動家という「異分子」が駆逐されてしまった。企業内の組合員意識の世界では、企業=イエ意識つまり自分の企業がもうかれば月給も上がるという考えの方が勝り、企業を超えて連帯して闘って賃金を引き上げる(「労働は商品でない」=カルテル規制の適用除外)という論理と運動が敗北した。そして、会社が処遇・労働条件を個別労働者ごとに決定する「個別化」、労使交渉や労働条件の決定が企業レベルに移る「分権化」が進む、組合役員は会社の人事処遇のレールに乗せられる。かくして、企業別組合はカンパニーユニオンと化し、競争と格差の編成原理を担う。企業別組合の実態が、法的救済が受けられない「法外組合」であっても何一つ不自由しない、というより、このような組合は裁判所や労働委員会に会社を訴えることは絶対にあり得ない。現行労働法の政策的要請は、集団的労使関係の世界ではマッチングしなくなっている。

 組合役員選挙への会社関与は人事・労務の通常業務で、XYZ論(有名な、三池労組の組織論)を逆手に、Y(会社派)を使い、Z(中間派)を取り込んでⅩ(組合派)の切り崩しは、まだ「正攻法?」だが、法外組合(御用組合)のおぞましい事例を列挙する。


 ①幹部の買収の常態化:総評VS同盟時代に見られたことであるが、中小の同盟系では組合費あるいは上部団体費(総評系の侵入を防ぐ保険料)を会社が負担・拠出。

 ②三六協定のための、組合印を会社の総務課に預け放し。

 ③組合留学制度:人事・労務の若手を執行部に「留学」させ、将来は会社側の対策要員に。

 ④組合役員の人事処遇化:考課や人事で優遇(鉄鋼大手Sの資格制度は「会社が期待する活用方法に基づいて資格区分に分類する」とうたい、単組トップは課長職扱い、連合・産別のトップ役員経験者は子会社役員に天下りが慣行化)etc。



次号へ続く

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 【 くさり7月号より 】

 
 筆者プロフィール
 
  要 宏輝  かなめ ひろあき
 
 1944年香川県に生まれる。
<運動歴>1967年総評全国金属労働組合大阪地方本部書記局に入局/1989年産別合併(第一次)で全国金属機械労働組合になり、1991年に同大阪地方本部書記長/1999年産別合併(第二次)でJAM大阪副委員長、連合大阪専従副会長/2005年定年後、連合大阪なんでも相談センター相談員/2009年1月連合大阪訴訟(大阪府労働委員会労働者委員再任妨害、パナソニック偽装請負批判論文弾圧、「正義の労働運動ふたたび」出版妨害、不当労働行為企業モリタへの連合大阪会長謝罪事件の四件の人格権侵害等訴訟)/2009年5月和歌山労働局総合労働相談員
<公職等>1993~2003年大阪地方最賃審議会委員/1999~2008年大阪府労働委員会労働者委員
<著書>「倒産労働運動―大失業時代の生き方、闘い方」(編著、柘植書房、1987年)/「大阪社会労働運動史第六巻」(共著、有斐閣、1996年)/「正義の労働運動ふたたび 労働運動要論」(単著、アットワークス、2007年)/「ワークフェア―排除から包摂へ?」(共著、法律文化社、2007年)など
<最新の論文等>「連合よ、正しく強かれ」(現代の理論2009年春号)/「組合攻撃したものの法的には負けっぱなしの橋下市長」(週刊金曜日2015.2.6号)/「結成28年で岐路に立つ『連合』」(週刊金曜日2017.8.25号)など

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